NITTETSU P&E TIMES PROJECT STORY

NITTETSU P&E TIMES PROJECT STORY

日鉄P&Eが手掛けたプロジェクトをご紹介します

Project02

国内最大級となる オンサイト 水素ステーションが竣工!

水素エネルギーの実現に向けて16年

次世代エネルギーの一つとして期待されている水素。新日鐵(当時)が、2004年3月、液体水素製造技術開発実証設備にさかのぼります。2005年3月には、新日鐵(当時)初となる愛・地球博の瀬戸北水素ステーションを建設。最新のプロジェクトでは、国内最大級となる東京大井水素ステーションを手がけ、2020年8月から運用が開始されました。

About 工事概要

発注者 ENEOS(株)
工事場所 東京都品川区八潮1-2-2
(株)JERA大井火力発電所構内

東京大井水素ステーション建設(設計・施工)工事

東京大井水素ステーション 建設(設計・施工)工事

出荷用のトレーラー。
ここで製造した水素を各地の水素ステーションに運搬します。

Overview プロジェクト概要

2004年の取り組みから16年、
国内最大級の水素ステーションを手がけるまでに
東京都で運行中のFCバスに水素製造し
供給する重要拠点「東京大井水素ステーション」

当社として5番目の建設プロジェクトとなる「東京大井水素ステーション」。プロジェクトを重ねるごとに規模が大きくなり、過去の実績と知見を糧についに日本最大級、世界最大級と言っても過言ではないステーションを手がけることができました。
東京都では、2020年までにFCバスを100両以上に普及させる目標を掲げており、実際に都内の移動手段としてFCバスを使った路線を運行しています。もともとは、東京オリンピック・パラリンピックで選手たちの移動に使用する約500台のFCV・FCバスへの供給拠点として、24時間の運営が計画されていました。現在は、都内を運行するFCバスに水素を供給する重要拠点として運用されています。

当社が水素技術に取り組みを始めた当初から関わり続けるエキスパート

資源・エネルギー事業部 水素ステーショングループ プロジェクト推進統括責任者 R.O

資源・エネルギー事業部
水素ステーショングループ
プロジェクト推進統括責任者
R.O

水素は宇宙でいちばん多い元素ですし、水からも取り出すことができます。東京大井水素ステーションでは、都市ガスから水素を製造していますが、将来的に水から効率的に水素を取り出せるようになれば、まさに夢のエネルギーになるでしょう。資源の少ない日本でも、周囲はすべて海ですから水に困ることはありません。水素社会が実現した未来を想像すると、先駆けとして携わっていることに誇りを持っています。

Initiatives これまでの取り組み

これまでの取り組み年表

水素ステーションの形式

水素ステーションは、大きく「オンサイト式」「オフサイト式」「移動式」の3つに分けられます。オンサイト式は規模が最も大きく、現地で水素を作り出し、隣接するスタンドで車に供給する設備です。オフサイト式は別の場所で作られた水素をスタンドに運び込んで供給する設備、移動式はトレーラーの上に小規模の水素ステーションを乗せて移動し、その場で供給するものです。

水素圧縮機
水素圧縮機
オンサイト式
オンサイト式
オフサイト式
オフサイト式

しかおい水素ファーム®「土木学会環境賞」受賞

エア・ウォーター(株)、鹿島建設(株)、日本エアープロダクツ(株)、当社の4社共同で実施している環境省の委託事業「家畜ふん尿由来低炭素水素を活用した水素サプライチェーン実証事業」が、「2019年度の土木学会環境賞(IIグループ)(※)」を受賞いたしました。バイオガスの新たな用途として水素利用の有効性を具体的な実績とともに示し、家畜ふん尿に起因する環境汚染や廃棄物の課題解決、およびエネルギー使用に伴うCO₂排出の削減に寄与するなど、酪農地域におけるエネルギーとしての水素の適応性を明らかにしたことが評価され、今回の受賞にいたりました。

(※)土木学会環境賞…1999年度に公益社団法人土木学会により設立されたもので、この内「IIグループ」は同学会の表彰規定により「土木技術・システムを開発・運用し、環境の保全・創造に貢献した画期的なプロジェクト」に授与されるものです。
しかおい水素ファーム
しかおい水素ファーム
表彰写真

Interview 工事状況

PERSON 01
前回の経験を活かし、
所長として現場を仕切っています

資源・エネルギー事業部 プロジェクト部 プラントプロジェクト室 K.S
資源・エネルギー事業部 プロジェクト部 プラントプロジェクト室 K.S

セントレア水素ステーションで監督として初参加しまし、その経験を活かして今回は所長として現場を仕切っています。当社の水素ステーションでは、日本製鉄(株)製の特殊な鋼管を使用し、対応しています。
扱いが難しい分設備は丈夫に作られており、地震や火災でもタンクが壊れたり水素が漏れ出したりする可能性はきわめて低く、一般的に「災害があったらガソリンスタンドに逃げ込むといい」と言われているほど安全に建設されています。プラント工事は本当に細かく工種が分かれていて大変だと感じました。今回は立場も変わり、全体を見るという意味では、また別の大変さがありましたが、世の中で脱炭素化を目指している中、注目される水素分野のような未来志向の事業に携われて良かったと思っています。今後も未来を見据えるような仕事ができるようにがんばります。

日本製鉄(株)製の特殊な鋼管で建設された水素ステーション

PERSON 02
品質保証部から
資源・エネルギー事業部へ
覚えることがたくさんありました

資源・エネルギー事業部 プロジェクト部 プラントプロジェクト室 T.H
資源・エネルギー事業部 プロジェクト部 プラントプロジェクト室 T.H

プラント事業については、ほぼ知識がなく、客観的には大変な事業だなと思っていました。実際に、覚えたり理解したりすることの数が膨大ですが、まだ汎用になっていないエネルギーを開拓していくというメンバーの一員に選ばれて光栄です。水素は夢のエネルギーだと思います。一方で、解決すべき課題も山積しています。今後も、そんな課題に挑み続けて行けるように努力していきたいと思っています。

気になる!

水素は危険なのか?
正しく使えば安全なエネルギー

みなさんが思う通り、水素が危険というのは、正しい認識です。そのため、正しく扱う必要があります。しかしそれは、一般に使われているガソリンや天然ガスなどと同じこと。水素ステーションは、各種関連法令などに基づき、すべての工程が厳しく管理され、安全を担保しています。

漏れた場合の例

【濡れた場合の例】
水素は空気より軽いので、上方に速やかに薄く広がる。
適切に上方換気すれば爆発させることなく安全に放散が可能

参考

【参考】
ガソリンは重いので、下方や周辺に溜まる(薄くなるのが遅く、火種があると爆発の危険がある)

Future 今後に向けて

水素社会実現に向け、今後も課題に挑む

初のオンサイト式のセントレア水素ステーションでは、水素製造装置が1基と1口のディスペンサーでFCVとFCバスに供給する規模。今回の東京大井では水素製造装置が2基に増えた上、ディスペンサーも2口、さらに水素出荷設備3口も備えて、より多くの需要に応えられる設備を建設しました。
現在、大型のFCバスを受け入れられるのは、都内に3か所しかありません。たくさんの水素を供給する施設をつくり、結果、たくさんの人を運ぶ手伝いをすることになります。「資源と人をつなぐ」を掲げる当社にとって、「水素」への関わりは、夢と誇りをもたらしてくれる挑戦なのです。

安定的な運用に向けて、試運転を行う様子

水素を供給するディスペンサー 充填時間は約3分

クルマ側の給水素口

※掲載している人物の肩書き及び役職は
プロジェクト当時のものとなります。